これから訪問看護ステーションをこれから開設しようとしている方のために、開設の準備から訪問看護認可申請の手続きに至るまでについてまとめます。
訪問看護ステーションの開設までにやること
訪問看護ステーションを開設するためには、都道府県知事又は指定都市・中核市の市長の認可指定を受けなければなりません。人員基準を満たしていること、設備・運営基準に従って適切な運営ができることが要件です。開設するまでにはさまざまな事前準備が必要になります。
事前によく計画する
開設の目的や方針を決める
開設の目的や方針を明確にしましょう。提供する訪問看護サービスの内容、利用者の見込み数、地域の訪問看護ステーション、病院や診療所等の医療機関、連携先となる介護事業所などは考えておかなくてはなりません。
開設資金を確保する
必要な資金は、設備資金と運転資金です。設備資金は、事務所の家賃や自動車・自転車などの車両、事務機器等の備品の準備に必要な資金です。運転資金は、人件費(給与や社会保険、福利厚生費等)が主なものです。事業開始後から利用者の見込みがあっても最初の収入は開設3ヶ月後となるため、6ヶ月分の人件費は確保しておく必要があります。自己資金のほか、低金利の融資制度や雇用対策の資金の活用も検討しましょう。
事業計画を立てる
指定申請に向けて事業計画を立てます。設備整備計画、人員計画、資金計画、サービス計画等などを単年度計画とともに3~5年の中長期経営計画を立てます。事業計画に沿って以下の準備を進めます。
認可手続きに必要な法人や設備を準備する
法人を設立する
株式会社、有限会社、NPO法人など設立手続きを行い、法人を設立します。すでに法人がある場合は、定款や寄付行為の変更を行い、訪問看護事業を登記する必要があります。
事業所の設置
訪問看護ステーションの事務室は専用区画であることが必要です。面談室はプライバシーに配慮して個室やパーティションで区切ることを考え、その他、倉庫、洗面所、洗濯場、感染予防のための汚物処理室や消毒のためのスペースなどが必要になります。広さについては基準がないので、要件を満たせばワンルームでも可能でしょう。
備品、物品の準備
机、パソコン、事務用品、訪問時に必要な物品を準備します。特に注意する点は、書類を保管するキャビネットはカギが付いたタイプでないといけないことです。
レセプトを行うソフトウェアの選定
月々の計画と実績を入力して保険請求を行うためのソフトウェアを導入する必要があります。いろいろなレセプトソフトがありますので、実際に試用してみましょう。
給与システムと会計システムの選定
給与計算や会計処理を行うためにはシステムの導入をしなければなりません。
安価なソフトウェアよりも、法改正やバックアップにも対応できるようなシステムを導入する方が良いでしょう。
賠償責任保険に加入する
業務の実施に際して、利用者やその家族等の第三者に怪我や物損を与えてしまった場合、その法律上の賠償責任を補償するために、損害賠償保険への加入が義務付けられています。
職員を雇い入れる
職員の確保
人員基準では看護職員(保健師、看護師又は準看護師)を常勤換算で2.5人配置が義務付けられています。2.5人のうち1名は常勤でなければなりません。
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士は必要に応じて配置できます。また、保険請求を行うための事務職員も必要です。